ギブソン ES-355:豪華な装飾と最高級のサウンド、憧れのトップモデル

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はじめに

ギブソンのESシリーズは、セミアコースティックギターの代名詞ですが、その中でも最も豪華で高級感あふれるモデルがES-355です。ギブソンがシンライン・セミアコースティック・シリーズの最上位機種として発表したのが、名器ES-355である。ES-335ES-345と比べてどのような違いがあるのか?サウンドの特徴は?どんなプレイヤーに向いているのか?この記事では、ギブソン ES-355の特徴と魅力を詳しく解説していきます!

ES-355の基本スペックと特徴

ES-355は、ES-335の上位機種として1958年に登場しました。基本的な構造はES-335と同じですが、より高級な仕様が施され、見た目・サウンドともにグレードアップしています。

セミアコースティック構造(セミホロウボディ)

  • ボディ内部にセンターブロックを搭載し、フルアコよりもハウリングに強い。
  • ソリッドギターのようなアタック感と、フルアコの温かみを兼ね備えたサウンド
  • ジャズ、ブルース、ロックなど幅広いジャンルで使用可能。

 高級感あふれる外観

ES-355は、ES-335と比べてよりゴージャスなルックスが特徴です。

ES-355には最高級モデルにふさわしい装飾が施されました。マルチプル・ボディー・バインディング、ヘッドにはスプリット・ダイアモンドのパール・インレイ。エボニー材の指板にはめたインレイは、ダブル・パラレログラムではなくパールのブロック。スタンダード仕様としてヴィブラート・テイルビースが取り付けられた。

豪華な装飾

  • ダブル・バインディング(ボディ・ネック・ヘッドに施された多層バインディング)
  • スプリット・ダイヤモンド・インレイのヘッドストック(レスポール・カスタムと同じデザイン)
  • エボニー指板(※一部モデルはリッチライト指板)で高級感のあるタッチ
  • 大きなブロックインレイ(ES-335のドットインレイよりも華やか)
  • ゴールドハードウェア(ブリッジ、ペグ、テールピースなど)

これらの仕様により、「セミアコのレスポール・カスタム」とも言われるほどの高級感があります。

 ヴァリトーン・スイッチ搭載(オリジナルモデル)

ES-345と同じくヴァリトーン・スイッチとステレオ配線を搭載。ただし最初期のモデルはモノラル配線で、1960年代までオプション仕様として残っていた。

ヴァリトーン・スイッチとは?

  • 6段階のロータリースイッチで、異なるトーンフィルターを適用できる。
  • 各ポジションで異なる周波数帯をカットし、ミッドレンジを調整可能
  • ジャズ、ファンク、ロックなど幅広い音作りができる。

現行のES-355にはヴァリトーンがないモデルも多く、シンプルな回路のものが主流です。

 ステレオ出力(オリジナルモデル)

1950〜60年代のオリジナルES-355には、ステレオ出力が搭載されていました。

ステレオ出力のメリット

  • 2つのピックアップを別々のアンプやエフェクターにルーティング可能。
  • より広がりのあるサウンドメイクが可能。

ただし、扱いづらいため、現代のモデルではモノラル仕様が主流です。

 ピックアップとサウンド

ES-355には、PAF(Patent Applied For)タイプのハムバッカーが搭載されており、甘く太いトーンが特徴です。

サウンドの特徴

  • ウォームでファットなクリーントーン(ジャズ、ブルース向き)
  • 豊かなミッドレンジと力強いリードサウンド(ロックにも最適)
  • ヴァリトーン・スイッチ使用で多彩なトーンが可能(ファンク、フュージョンにも対応)

ES-355ES-335よりも明るく、レスポールのようなパワー感があるサウンドが特徴です。

ES-335 / ES-345 / ES-355の違いは?

モデル ヴァリトーン・スイッチ ハードウェア 指板 ヘッドインレイ バインディング
ES-335 なし クローム or ニッケル ローズウッド ギブソンロゴのみ シングル
ES-345 あり ゴールド ローズウッド ギブソンロゴのみ マルチ
ES-355 あり(モデルによる) ゴールド エボニー スプリット・ダイヤモンド マルチ

簡単なまとめ

  • ES-335 → シンプルでオーソドックスなセミアコ
  • ES-345 → ES-335にヴァリトーンを追加した中級機種
  • ES-355最高級モデル(装飾・ハードウェア・音のバリエーションが豊富)

ES-335 ES-345  ES-355 

 ES-355を愛用したギタリスト

ES-355を使用した有名アーティスト

最高級仕様の ES-355は、当然ながら人気を集める。特にブルースやR&B界からの評価は高く、ジミー・ロジャーズチャック・ベリーも 355を愛用した。

  • B.B.キング(ブルースの王様)
    • 彼の愛用モデル「Lucille」は、ES-355をベースにしたカスタムギター。
  • チャック・ベリー(ロックンロールのパイオニア)
    • 有名なのはGibson ES-345ですが、ES-355も使用していました。
  • キース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)
    • 1960年代にES-355を使用し、ロックにブルースのエッセンスを加えた。

  • ノエル・ギャラガー(オアシス)
    • レッドカラーのES-355をライブで愛用。

  • アレックス・ライフソン(ラッシュ)
    • プログレッシブロックのサウンドにES-355を活用。

ES-355は、ブルースやジャズはもちろん、ロックンロールやブリットポップ、プログレなど幅広いジャンルで使われています。

ES-345やES-355の売り上げが伸びなかった理由

だがギブソンの努力にもかかわらず、ES-335に比べて、高級機種のES-345や355の売り上げは伸びなかった。出荷数が当時の状況を物語っている。1960年の出荷数は、ES-335が514本、ES-345が521本、ES-355が317本。1962年には、335が876本、345が306本、355が220本。そしてシンラインの生産が最盛期を迎えた1967年ごろには、335が6.000本近い年間生産数を誇ったのに対し、345は約1,100本、355に至っては400本程度にとどまっている。このシリーズの中で今日いちばん高値が付くのが、ベーシックなES-335 だ。希少なナチュラル・ブロンド・フィニッシュの初期モデルは特に人気が高い。

 ES-335との価格差

  • ES-345やES-355はES-335よりも高価だったため、ギタリストにとって手が届きにくい存在だった。
  • 1959年当時の価格(参考)
    • ES-335:$267.50
    • ES-345:$345(約1.3倍)
    • ES-355:$525(約2倍)
  • 音や演奏性に大きな差がないと感じるプレイヤーが多く、コストパフォーマンスの良いES-335の方が人気だった。

「少し豪華な仕様のために、数百ドル余分に払う価値があるか?」と考えたとき、多くのギタリストはES-335を選んだ。

 バリトーン・スイッチが敬遠された(ES-345)

  • ES-345にはバリトーン・スイッチが搭載されており、トーンのバリエーションを増やす設計になっていた。
  • しかし、バリトーン・スイッチは音がこもったり、使いにくいと感じるプレイヤーが多かった
  • 特にロックギタリストにとってはシンプルな操作性のES-335の方が扱いやすかった

ジャズやブルース向けのバリトーン機能だったが、ロックギタリストにはあまり受け入れられなかった。

 ステレオ・アウトが敬遠された(ES-345 & ES-355)

  • ES-345とES-355には「ステレオ・アウト」機能が搭載されていた。
  • これにより、フロントとリアのピックアップを別々のアンプに出力できる設計になっていたが…
  • 当時のギタリストの多くは、シンプルなモノラル出力を好んでいたため、あまり普及しなかった。
  • ステレオ・ケーブルが必要な点も不便だったため、多くのギタリストがモノラル仕様のES-335を選んだ。

ステレオ機能が当時のギタリストのニーズに合わなかった。


 高級な装飾やハードウェアが必要とされなかった(ES-355)

  • ES-355は、バインディングや指板材、ハードウェアが豪華な仕様になっていた。
  • しかし、演奏性や音に大きな違いがあるわけではなかったため、多くのギタリストがコストを考えてES-335を選んだ。
  • ES-355はBBキングのような一部のアーティストには愛されたが、一般的なギタリストには手が届きにくいモデルだった。

「音はほぼ同じなら、シンプルなES-335でいいじゃん」という意見が多かった。

現在のES-345 & ES-355の売り上げ状況は?

かつてはES-335に比べて売れ行きが伸びなかったES-345やES-355ですが、近年ではヴィンテージ市場の評価向上リイシューモデルの登場によって、人気が再燃しています。

では、現在の売り上げ状況を詳しく見ていきましょう。

  現行モデルの人気動向

 Gibson Custom Shop & USAモデルのリイシューが人気

現在、Gibsonはカスタムショップ製やUSAラインでES-345やES-355のリイシューモデルを展開しています。

  • Gibson Custom 1959 ES-345 Reissue(ヴィンテージ仕様を忠実に再現)
  • Gibson ES-345(USAライン)(現代向けのチューニングが施されたモデル)
  • Gibson Custom 1964 ES-355 Reissue(ゴールドハードウェア&バリトーン付き)

ヴィンテージ愛好家やプロミュージシャンを中心に、近年のリイシューモデルの人気が上昇中!


 ヴィンテージ市場での評価が上昇

  • 1959年〜60年代製のオリジナルES-345やES-355の価格は高騰しており、現在では$15,000〜$30,000(約200万〜450万円)の価格で取引されることも。
  • 一方で、ES-335のヴィンテージモデルも高騰しており、ES-345やES-355との差が縮まってきたため、ヴィンテージ市場では相対的にES-345やES-355も人気が上がっている。

昔は「高いから売れなかった」が、今は「ヴィンテージとしての価値が高まり、投資対象としても注目されている」。


  現代のギタリストに受け入れられる理由

シンプルなモノラル仕様が登場

  • かつて不評だったステレオアウト仕様が、現代のモデルではモノラル仕様になり、より使いやすくなった
  • これにより、「ES-335のサウンド+ES-345/355の豪華なルックス」として再評価されている。

 バリトーン・スイッチの再評価

  • 1960年代当時は「音がこもる」と不評だったバリトーン・スイッチだが、現在は「独特のEQ変化が個性的」として評価が上がっている。
  • 特にジャズやブルース、インディーロックのプレイヤーが、「ヴィンテージ感のある音作りができる」と好んで使用するようになった。
  • BBキングやフレディ・キングのトーンを再現したいプレイヤーにも人気。

昔は「いらない」と言われた機能が、今では「個性的な武器」として再評価されている。


アーティストの使用増加

近年、有名ギタリストがES-345やES-355を使用する機会が増えています。

  • ノエル・ギャラガー(Oasis) → ES-355を愛用
  • マーカス・キング → ES-345をメインギターに
  • ゲイリー・クラーク・ジュニア → ES-345を使用
  • エリック・クラプトン → かつてES-335と並んでES-345を使用

 アーティストが使うことで、再評価される流れが強まっている。


 まとめ:ES-355は最高級セミアコを求める人におすすめ!

ES-355は、ギブソン社の最高級セミアコースティックギターであり、その評価は非常に高いです。美しいデザイン、豊かなサウンド、優れた演奏性など、多くの魅力を持っています。高価なギターではありますが、それに見合うだけの価値があると言えるでしょう。

ES-355に興味がある方は、ぜひ一度試奏してみてください。その素晴らしいサウンドと演奏性に、きっと魅了されるはずです。

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