はじめに
「ギターの王様」と称されるギブソン レスポール。その中でも特別な存在、ギブソンのポールレス・カスタム(Gibson Les Paul Custom)は、その豪華なデザインと圧倒的なサウンドで、多くのギタリストに愛され続ける名器です。
この記事では、レスポール・カスタムの歴史や特徴、そしてレスポール・カスタムを愛用したギタリストを紹介します。
レスポール・カスタムの誕生(1954年)
レスボールもギブソン社も、高品質なギターのラインアップを強化する必要性を感じていた。 ブロだけでなくアマチュアのギタリストにも、多彩な選択肢を与えたいと考えたのである。 自転車メーカーのシュウイン社や自動車メーカーのクライスラーと同じく、ギブソン社も、その幅広い製品ラインアップで知られていた。 そんな中、手の込んだバインディングにゴールドパーツを備えた、高級志向の豪華なギターが発表されるレスポール・カスタムである。開発は 1953 年後半から1954年の春にかけて行われ、同年夏のトレードショーに試作モデルが出展されたのち、すぐに製品モデルの生産が始まった。
1957年:P-90からハムバッカーへ
1954年の初期モデルには、ブリッジ側にP-90ピックアップ、ネック側には「アルニコV」ピックアップが搭載されていました。 しかし、1957年にはギブソンの技術者セス・ラバー(Seth Lover)が開発したハムバッカー(PAF)が搭載され、これにより強力でノイズの少ないトーンが実現しました。この改良によって、レスポール・カスタムはさらに多くのギタリストにサポートされるようになりました。
1961年:SGにモデルチェンジ
レスポールの売上があった事から、ギブソンは1961年にレスポール・カスタムをSGシェイプへ変更。
これが現在の「SGカスタム」となります。
このため、1961年以降はオリジナルのレスポール・カスタムが一時的に生産終了。
しかし、1968年には再びレスポール・カスタムの生産が再開され、以降はギブソンの定番モデルとして君臨し続けています。
レスポール・カスタムの主な特徴
豪華なルックス(ブラック・ビューティー)
- 漆黒のボディ(ホワイトやワインレッドもあるが、ブラックが定番)
- ゴールドハードウェア(ペグ、ブリッジ、ピックアップカバー)
- バインディング(縁取り)がボディ・ネック・ヘッドに施され、高級感抜群
特に黒とゴールドのコントラストが美しく、ライブステージでも映えるギターです。
ブラックのラッカー塗装によるフィニッシュが基本スペック。 白いパールのインレイと純金めっきを施したメタルパーツのコントラストが、ギターに豪華で洗練された印象を与えている。
エボニー指板によるクリアなサウンドとフレットレス・ワンダー
特別にあつらえたL-5風のエボニー指板も同様に魅力的なこのモデルは、“フレットレス・ワンダー”の愛称で知られる。フレットが非常に低く滑らかで、抜群に弾きやすいことがその名の由来だ。 こうした薄くて小さいフレットは当時、 50年代のジャズギタリストに好まれると考えられていた。 極端なロー・アクションから生まれるフィンガリングは、 指が空を舞っているかの如くである。
圧巻なサウンドを生み出すマホガニーボディ
- レスポール・カスタムはマホガニーボディ&マホガニーネック(メイプルトップがないモデルも多い)。
- これにより、中低音が太く、サスティンが豊かです。
- 特に、クリーントーンでも分厚い響きが得られるのが特徴。
ハムバッカー(PAF)によるパワフルなトーン
- 強力なパワーを誇る当時新聞発のアルニコ5 ピックアップ
- 1957年以降のレスポール・カスタムには、ギブソンPAFハムバッカーが搭載され、力強い音を実現
- これにより、ロック、ハードロック、ブルース、メタルまで幅広く対応。
- 近年のモデルでは、バーストバッカーや490R/498Tなどのモダンなハムバッカーが採用されることも多い。
画期的なチューン・オー・マチック
この新しいギブソンソリッドギターの最高級モデルの特徴は、何と言っても、画期的なチューン・オー・マチック アジャスタブル ブリッジを標準装備していたことにある。
主な特徴
- オクターブ調整:
- 各弦のサドルが独立して調整可能であり、正確なオクターブ調整が可能です。これにより、全てのフレットで正確な音程が得られます。
- 弦高調整:
- ブリッジ全体の高さを調整できるため、好みの弦高に設定できます。低い弦高は演奏性を向上させ、高い弦高は豊かな音色を生み出します。
- 安定性:
- 堅牢な構造により、弦の振動をしっかりとボディに伝え、安定した演奏とサスティーンを実現します。
- 汎用性:
- ギブソンのレスポールをはじめ、多くのエレキギターに採用されており、様々な音楽ジャンルに対応できます。
チューン・オー・マチックの種類
- ABR-1:
- 初期のチューン・オー・マチックで、ヴィンテージギターに多く見られます。
- ナッシュビル・チューン・オー・マチック:
- ABR-1の改良版で、より安定性が高く、調整が容易です。
チューン・オー・マチックの利点
- 正確なチューニングと音程
- 快適な演奏性
- 安定したサウンド
チューン・オー・マチックは、エレキギターの演奏性と音質を大きく向上させる、非常に優れたブリッジです。
サウンド
様々な理由から派手な装飾を施された高価なソリッドボディ・ギターではあるが、 レスポール・モデル特有のラミネート構造による劣化の少ないメイプルトップだけは採り入れられていない。
真の理由は、これまでとは違うトーンを得ようとしたからだろう。ギブソン社は、誰もがよりプライトな音を求めているわけではないことに気づいた。そこで、その分野についてはスタンダードモデルに任せて、カスタム・モデルでは、日々ステージに立つ洗練されたプレイヤーを対象に、よりリッチな音作りを目指す方向にシフトしたのだ。
ソリッドなマホガニー構造は本質的に深いレゾナンスを生み、ギターに実に色鮮やかなトーンをもたらした。それに加えてギブソン社は、高価なメイプルトップを使おうが使うまいが、最新式の電気回路が多彩な音色を作り出せることにも気づいていた。
カスタムは当初から、ジャズ向きのギター
カスタムは当初から、ジャズ向きのギターと考えられていた。ワンピース・マホガニーボディのやや湿ったトーン(ブライトすぎないトーン)は、エボニー指板のクリアなサウンドと相まってより味わいを増す。メイプルのようなサステインや透明感は得られなくとも、多くのジャズ・ミュージシャンに好まれるダークな音色を奏でるのには適していこの時代、よりブライトな音がするスプルース・トップのモデルを避け、 ES-350 や ES-175 といった合板のメイプルトップ・モデルを好んで使用する人気ジャズギタリストは多かった。例えば、バーニー・ケッセル、タル・ファーロウ、ハワード・ロバーツ、ジム・ホール、トミー・テデスコなどがそうだ。トップ・プレイヤーの中には、レコーディングやライヴで新しいレスポール・カスタムを使用する者もいた。ただし、レスは後年、メイプルトップのカスタム・モデルも作るべきだったと口にしている。
レスポール・カスタムを愛用するギタリスト
レスポール・カスタムは、多くの有名ギタリストに愛用されてきました。ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、スラッシュ、ザック・ワイルドなど、錚々たるメンバーがレスポール・カスタムを愛用しています。
- ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン):
- レスポール・カスタムを愛用した最も有名なギタリストの一人です。
- 特に、1960年製の「ナンバーワン」と呼ばれるレスポール・カスタムは、彼のトレードマークとなっています。
- ランディ・ローズ(オジー・オズボーン・バンド):
- 白のレスポール・カスタムを愛用し、速弾きとクラシカルなフレーズで、多くのギタリストに影響を与えました。
- スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ):
- 1987年製のレスポール・カスタムを愛用し、ハードロックのアイコンとして知られています。
- ザック・ワイルド(オジー・オズボーン・バンド、ブラック・レーベル・ソサイアティ):
- 「ブルズアイ」と呼ばれる特徴的なペイントが施されたレスポール・カスタムを愛用しています。
- スティーブ・ジョーンズ(セックス・ピストルズ):
- 白いレスポール・カスタムを愛用し、パンクロックのアイコンとして知られています。
- ロバート・フリップ(キング・クリムゾン):
- 初期のキング・クリムゾンで1959年製レスポールカスタムを使用していた。
まとめ
ギブソン レスポール・カスタムは、そのサウンド、デザイン、歴史、そして愛用するギタリストの存在によって、「ギターの王様」と呼ばれるにふさわしいギターです。ぜひ一度、レスポール・カスタムのサウンドを体感してみてください。
このブログ記事は、レスポール・カスタムの歴史、特徴、魅力を中心に構成しました。レスポール・カスタムに興味を持つ方が、その魅力を理解し、さらに深く探求するきっかけになれば幸いです。
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