スライドギターの王様、ワイゼンボーン・ギターとは? 

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ギター

スライドギターの王様、ワイゼンボーン・ギターとは?

ギターの歴史の中で、特別な輝きを放つ楽器があります。その一つが、美しい木目と独特な形状が特徴のワイゼンボーン・ギターです。

1920年代、ドイツ出身のギター製作家ヘルマン・ワイゼンボーンによって生み出されたこの楽器は、当時のハワイアン・ミュージックの流行とともに世界に広まりました。

ラップスティール・ギターの一種であるワイゼンボーンは、通常のギターのように抱えて弾くのではなく、水平に膝の上に乗せてスチール製の棒(トーンバー)を弦に当てて演奏します。独特のハワイアン・サウンドは、この演奏スタイルから生まれる、まるで歌うような、なめらかな音色によって作り出されるのです。

ハワイアン・ミュージックから生まれた革新

1890年代、アメリカでハワイアン・ミュージック・ブームが起こる。 このブームは1915年ごろ最高潮に達し、1930年代まで続いた。 スライドギターで音を自在に上下させ叙情的なサウンドを奏でる 「ハワイアン」 スタイルが、 ブルース界で一般的な「オープン・チューニングにして“スライド” プ
レイする」 スタイルに大きな影響を与えたのか?これはギター史研究家の永遠のテーマですが、 答えは見つからないままです。クロスオーヴァーがあったのは間違いない。しかし、 ハワイアン・ミュージックではギターを横にしてひざに乗せ、固い金属棒で弦を押さえながら演奏するのに対し、 ブルースのスライド・プレイヤーは基本的にギターを立てて持ち、ボトルネックガラス製の瓶の首 (あるいはシンプルな金属管)を指にはめて弦の上をスライドさせる。 このハワイアンとブルースの演奏スタイルの違いは、両者のルーツの違いを示しているように思えます。

 

ホロウネックが生み出す豊かな響き

ワイゼンボーン・ギターの最大の特徴は、そのホロウネック(中空のネック)です。ボディからネックまでが一体となって空洞になっているこの構造が、他のギターにはない、豊かで温かみのある共鳴を生み出します。まるでギター全体がひとつのスピーカーになったかのような、深く、そして広がるサウンドは、多くのミュージシャンを魅了してきました。

特に、コア材で作られたモデルは、その美しい木目と、明るくも深みのある音色が相まって、多くのプレイヤーから愛されています。

 

特徴

ヘルマン・ワイゼンボーンのギターは、 1920年代にもっとも人気が高かった。
コアは今や絶滅の危機にひんしているが、 ワイゼンボーン独特のサウンドに欠かせない木材でした。
装飾 ワイゼンボーンの特徴の一つとして「ロープ模様」のバインディングがある。 装飾のレベルによりスタイル1 (40ドル) からスタイル4 (79ドル) に分かれていた。ホロウネック ほとんどのモデルは、 内部に響く音の大きさを最大にするためネックが空洞になっている。 スケール長は、ミディアムサイズの24.5インチ (約 62.2cm) 程度が標準仕様。サドルワイゼンボーンの場合、 サドルは斜めではなく水平に付けられている。 弦に対して90度の角度でスライドバーを当てたとき、最良のイントネーションが得られるようにするためでした。

ワイゼンボーンは、 ヒロ (Hilo)、 コナ (Kona)、シレゾン・リリック (Shireson Lyric) などのブランドのギターも受注生産していた。他の楽器職人 1920年代には、クリス・ナットセン、 オス
カー・シュミット、 ルドルフ・ドピエラ (ナショナル/ドブロ時代) らも、コア材を使ってフラットトップ ハワイアン・ギターの名品を作っている。木製のハワイアン・ギターは、新たに登場したリゾ
ネーター・ギターの圧倒的な音量に押され、 1920年代の終わりと共に人気を失っていきました。

ワイゼンボーンの伝統

ハワイアン・ギターの人気を反映して、 ギター教師が増え、各地に音楽学校が誕生し、 教則本が普及しました。 ギターのデザインスクールという新種の学校も作られた。 時流に乗じたマーティンとギブソンは、ラップ・スタイル・ギターの大量生産に乗り出す。 しかしハワイアン・ギターの名品は、何といってもロサンゼルスを拠点としたドイツ移民、 ヘルマン・C・ワイゼンボーンが作ったものだろう。
ワイゼンボーン ギターは、 異国風にしつらえたハワイ産のコア材製。 厚いスクエアネックに特別高いナット (弦受け)を付けて弦高を上げ、 澄んだ甘い音が出るよう工夫されていた。 ワイゼンボーンは1920年代にギターを作り始め、1936年に亡くなるまで名器を世に送り出し続けました。
ワイゼンボーンの伝統を今に伝えるミュージシャンは、わずかだがブルース界にも存在します。

ベン・ハーパーben harper

1969年にカリフォルニアで生まれたベン・ハーパーは、現代アメリカを代表する 「生きたブルース」のプレイヤーだ。愛器は80年近く前に作られたワイゼンボーン。フォークからロックまで、ジャンルを超えて幅広い音楽をプレイし、ヒップホップ界の大物ミュージシャンとの共演も多いハーパーだが、実は筋金入りのブルース・ファンである。 チャーリー・パットン、ブラインド・ウィリー・マクテルといった古の巨人たち、あるいは1960年代にブルース復興を進めたタジ・マハールやジミ・ヘンドリクスらの音楽に親しむ彼は、D-A-F-C-G-D などの変則的なチューニングを使うことでも知られている。  希少な「ティアドロップ」形のオリジナルワイゼンボーンを愛用。 また、名器の伝統を絶やさないために、 カノプス (Canopus) などのメーカーや、 ルシアー ( 弦楽器製作家)のビル・アッシャー (Bill Asher) デヴィッド・ダート (David Dart) にギター製作を依頼し、 エレクトリック/アコースティックのワイゼンボーン・ギターを現代によみがえらせている。

時代の壁を超えて愛されるサウンド

ワイゼンボーン・ギターは、ハワイアン・ミュージックの枠を超え、多くのジャンルで活躍しています。ブルース、フォーク、カントリー、そしてロックの世界でも、そのユニークな音色は存在感を放ちます。例えば、ベン・ハーパーやデヴィッド・リンドレーといったアーティストは、ワイゼンボーンを使って、この楽器の持つ可能性をさらに広げました。

現代においても、ワイゼンボーンのレプリカや、その構造からインスピレーションを得た新しいギターが多数作られており、その魅力は色褪せることがありません。

もしあなたが、ひと味違うアコースティック・サウンドを探しているなら、ワイゼンボーン・ギターの世界を覗いてみてはいかがでしょうか? その歌声のような美しい音色に、きっと心を奪われるはずです。

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