はじめに
ダン エレクトロは、1940年代後半に設立された名門ギターメーカーです。リップスティックピックアップやセミホロウボディなど、独特の仕様が特徴的なギターを生み出してきました。本日は、ダン エレクトロのギターについて詳しく解説していきます。歴史に彩られた名機から最新モデルまで、幅広く紹介しますので、ぜひご覧ください。
歴史と特徴
ダン エレクトロの歴史は、1947年にネイサン・ダニエル(Nathan Daniel)が「安くて高品質なギターを作る」ことを目標に設立しましたことから始まります。当初はアンプやエフェクターを扱っていましたが、1954年からギターの製造も開始しました。リップスティックピックアップやセミホロウボディなど、他にはない独自の仕様が人気を博しました。
最初は安いギターやアンプを製造し、シアーズなどの通販カタログで販売しており、一般家庭のアマチュアミュージシャンにも手の届く存在でした。
リップスティックピックアップ
ダン エレクトロを語る上で外せないのが、リップスティックピックアップです。この特徴的な円筒形ピックアップは、温かみのあるユニークなサウンドを生み出します。また、ピックアップ自体のデザインも目を引く存在感があり、ダン エレクトロの代名詞ともいえます。
リップスティックピックアップは、コイルがアルニコV磁石で固定された構造になっています。この仕様により、豊かな倍音とナチュラルなサスティーンが生まれます。ロックンロールやブルースなど、様々なジャンルで活躍しているのがリップスティックピックアップの魅力です。
- シングルコイルなのに、ハムバッカーのような太さを持つ
- どこかローファイで、温かみのあるジャキジャキしたトーン
セミホロウボディ
ダン エレクトロのギターにはセミホロウボディが多く採用されています。この構造は、中空のチャンバー部分と板状の木部分から構成されます。このおかげで、ソリッドボディよりも余計な倍音が抑えられ、レスポンスの良いサウンドが生まれます。
セミホロウボディは、ボディ内部の空気の振動で豊かな響きを実現しています。サスティーンとフィーリングが際立つため、様々なスタイルのプレイヤーから支持されているのが特徴です。ロックからジャズまで、幅広いシーンで活躍できるのがセミホロウボディの強みといえるでしょう。
その他の特徴的な仕様
ダン エレクトロのギターには、他にも特徴的な仕様が数多く採用されています。例えば、
- 金属製のナット
- ローズウッド製のサドル(ローズウッドは、暖かく豊かなサウンドを生み出すことで知られています)
- 高さ調整ネジの目立たない外観
スタック式のポット(メトリカル・ポット)
仕組み
- 外側のリング → トーンコントロール(高音域の調整)
- 内側のノブ → ボリュームコントロール(音量調整)
つまり、1つのポットで2つの機能を操作できるため、ノブの数を減らし、よりシンプルなデザインにすることができます。
ダンエレクトロのギターでは、このスタック式ポットが採用されているモデルが多くあります。
なぜスタック式ポットが採用されているのか?
ダンエレクトロのギターは、元々コストを抑えるために、既存のパーツを流用していました。
スタック式ポットもその一つで、当時のラジオなどに使われていたものを流用したと考えられています。
また、スタック式ポットは、コンパクトなスペースに2つのコントロールを配置できるというメリットもあります。
スタック式ポットのメリット・デメリット
メリット
- 省スペース: 1つの穴に2つのコントロールを配置できるため、ギターのスペースを有効活用できます。
- 独特のルックス: ダンエレクトロギターの独特なルックスに貢献しています。
デメリット
- 操作性: 2つのコントロールが近いため、操作しづらい場合があります。
- メンテナンス性: 構造が複雑なため、メンテナンスが難しい場合があります。
このように、ダン エレクトロ独自の設計思想が随所に見受けられます。こうした拘りが、ダン エレクトロのギターを際立たせる要因となっているのです。
名機の系譜
ダン エレクトロには、数々の名機が存在します。ここでは、代表的な名機の系譜をご紹介します。
U2
ダン エレクトロを語る上で欠かせないのが、1950年代に製造された名機「U2」です。このモデルは高値で取引されるほど人気が高く、ビンテージギターの代名詞的な存在です。
U2は、ダン エレクトロのリップスティックピックアップを2つ搭載したモデルです。このPUの配列により、パワフルでありながらも温かみのあるサウンドを実現しています。また、メイプルネックやパーフェローフィンガーボードなど、当時としては最高級の仕様が採用されていました。
59 O/M モデル
ダン エレクトロが復活した後に登場した代表作が、59 “O”モデルと “M” SPRUCEモデルです。これらは、往年の名機U2をベースに現代的な解釈を加えたモデルです。
59 “O”モデルは、オリジナルのU2をリイシュー化したモデルで、ビンテージサウンドの再現に重きを置いています。一方の59 “M”モデルは、現代のニーズに合わせてスケールやピックアップなどを最適化。どちらも本家U2の魂を受け継ぎつつ、現代のプレイヤーにうってつけの1本となっています。
59 “O” “M” SPRUCE
最新モデル
ダン エレクトロは、伝統を大切にしつつも、現代の音楽シーンに合わせた新しいギターを発表し続けています。ここでは、最新の注目モデルをいくつかご紹介します。
59 M N.O.S +
最新モデルの中でも人気なのが、「59 M N.O.S +」です。このモデルは、往年の名機U2からインスピレーションを得つつ、現代的な解釈を加えたハイブリッドモデルです。
59 M N.O.S +には、ビンテージのリップスティックピックアップが搭載されています。これにより、本物のU2に迫るサウンドを実現しつつ、現代のプレイヤーにも対応した使いやすさが備わっています。リップスティックPUとボディの倍音が渾然一体となり、ダイナミックかつ温かみのあるサウンドを生み出します。
59 RESONATOR
リゾネーター機構を搭載した「59 RESONATOR」も、ダン エレクトロの最新モデルとして注目を集めています。このモデルには、ピエゾPUとリップスティックPUが搭載されており、それぞれのサウンドをブレンドできるユニークな仕様となっています。
リゾネーター部分から生まれる独特の倍音が、リップスティックのサウンドに重なり合います。その結果、力強くクリアな音色が生まれ、アコースティックギターのようなナチュラルさも感じられるのが特徴です。ジャンルを選ばず、幅広く活躍できる1本となっています。
ダン エレクトロのファッション性
ダン エレクトロのギターは、音質の良さだけでなく、ファッション性の高さも魅力の一つです。独特のデザインが、プレイヤーの個性を一層際立たせてくれます。
スタイリッシュなボディデザイン
ダン エレクトロのボディデザインは、どれもスタイリッシュで印象的です。例えば、
- LONGHORN GUITARのようなカッタウェイ形状
- VINTAGE 12Stringの大型シェイプ
- THE 84の3つのリップスティックPUを備えた独特なルックス
このように、ダン エレクトロには目を引くデザインが数多く存在します。プレイヤーの個性をアピールするのに最適な1本が、きっと見つかるはずです。
カラーリングとアクセサリー
ダン エレクトロのギターには、個性的なカラーリングが施されているモデルも多数あります。ボディトップにレーシングストライプを配したり、マルチカラーのフィニッシュを採用したり、様々な工夫がなされています。
また、ダン エレクトロ純正のギターケースやストラップなどを使えば、より一体感のあるスタイリングが楽しめます。ケースの生地や色使いにもこだわりが感じられ、ファッション性の高さが窺えます。
まとめ
ダン エレクトロのギターは、70年以上の歴史の中で培われた卓越した技術と、独自の設計思想が凝縮された逸品です。リップスティックピックアップやセミホロウボディなど、ダン エレクトロならではの特徴が魅力の1つとなっています。
往年の名機から最新モデルまで、ダン エレクトロのギターは常に進化を続けています。ビンテージサウンドの再現から現代的な解釈、さらにはファッション性の追求にいたるまで、プレイヤーの個性に応えられる1本が必ずあるはずです。伝統と革新が共存するダン エレクトロのギターに、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
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