グレッチ ギターの魅力と歴史を探る – 音色とデザインの独自性

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ギター
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はじめに

ギターの世界には数多くのブランドが存在しますが、その中でも飽くなき人気を誇るのがグレッチです。1883年の創立以来、ロックンロールの黎明期から現代に至るまで、グレッチギターは独自の存在感と音色で多くのミュージシャンを魅了してきました。本日は、このアメリカ老舗ブランドの歴史と魅力に迫っていきましょう。

グレッチの歴史

グレッチギターの起源は、1883年にドイツ人移民フレデリック・グレッチによってニューヨークで創業されたことにさかのぼります。当初はバンジョーやドラムなどを製造していましたが、1950年代に入るとエレクトリックギターの分野に参入し、大ヒット商品を生み出しました。

主要ヒットモデル

1950年代に誕生した「6120」や「ホワイト・ファルコン」は、グレッチの代表作とも言えるモデルです。ロカビリーやロックンロールのブームに乗って、絶大な人気を博しました。

6120は、クリーントーンからディストーションまで、ロック色の強い音作りに適したモデルでした。一方のホワイト・ファルコンは、高級感あふれるデザインと豊かなサウンドが魅力でした。当時、世界で最も高価なギターの1つとされていました。

6120 ホワイト・ファルコン 


一時の衰退と復活

1960年代後半以降、、エレクトリックギター市場は、フェンダーやギブソンなどの大手ブランドが圧倒的なシェアを持ち、競争が激しくなりました。特に、フェンダーのストラトキャスターやギブソンのレスポールなど、音楽シーンで支配的だったギターが流行し、グレッチのギターは相対的に人気が低下しました。グレッチは経営不振に陥り、一時期はボールドウィンに買収されるなど、厳しい時期を迎えました。しかし1980年代に入ると、ビートルズのジョージ・ハリスンをはじめ、多くのミュージシャンによって再評価されるようになりました

1990年代~2000年代はブライアン・セッツァー(Brian Setzer)などの有名なギタリストをブランドアンバサダーとして迎え、再びロックンロールやカントリー、ブルースといった音楽ジャンルでの認知度が向上しました。特に、ブライアン・セッツァーは、グレッチのギターを用いて音楽シーンに再び登場し、ブランドのイメージを強化しました。

現在のグレッチは、フェンダーの傘下で高級モデルを製造しています。

また、廉価版のElectromaticブランドも展開し、幅広い需要に応えています。

Electromaticシリーズの特徴

  1. 手頃な価格:Electromaticは、グレッチのハイエンドモデル(例えば、Custom ShopシリーズやG6120シリーズ)に比べて、価格が抑えられています。それでも、グレッチらしいデザインと品質を保持しています。
  2. ハイエンドモデルとの類似:Electromaticシリーズは、グレッチの高級モデルに似た外観や音響特性を持ち、特にホロウボディギターセミホロウボディギターが多くラインナップされています。これにより、初心者や中級者でもグレッチのサウンドとスタイルを楽しむことができます。
  3. ピックアップ:Electromaticギターには、グレッチ独自の**ブラックトップフィルタートロン(Black Top Filter’Tron)**ピックアップが搭載されていることが多く、クラシックなグレッチサウンドを提供します。
  4. 多彩なモデル:このシリーズには、G2622(セミホロウボディ)、G2624G2627など、さまざまなモデルがあり、異なる演奏スタイルに合わせて選べるバリエーションがあります。

  

グレッチの特徴

グレッチギターには、様々な魅力的な特徴があります。独特のデザインと温かみのあるサウンド、先駆的な回路設計など、グレッチならではの要素に注目していきましょう。

デザイン

グレッチギターのデザインは、その独特なサウンドと同様に、一目でそれとわかる個性的なルックスが特徴です。以下に、グレッチギターのデザインの特徴をまとめました。

ボディシェイプ

  • アーチトップ: 多くのモデルで、ボディトップがアーチ状に加工されています。これにより、豊かな鳴りと独特のサウンドが得られます。
  • カッタウェイ: ハイポジションの演奏性を高めるために、ボディの一部が削られています。
  • ダブルカッタウェイ: 一部のモデルでは、ダブルカッタウェイを採用し、さらに演奏性を高めています。

カラーリング

  • オレンジ: グレッチギターの代表的なカラーの一つです。
  • サンバースト: 多くのモデルで採用されている、伝統的なカラーリングです。
  • ブラック: 一部のモデルでは、ブラックカラーを採用し、精悍な印象を与えています。
  • ホワイト: ホワイトファルコンなど、一部のモデルでは、ホワイトカラーを採用し、個性的なルックスにしています。

美しいバインディングと装飾

  • バインディング: グレッチのギターは、その豪華なバインディング(ボディやネックの縁に施される装飾的な縁取り)が特徴的です。ホワイトバインディングやマルチプライバインディングなど、手が込んだデザインが施されており、見た目にも美しいギターです。
  • インレイ: 指板に施された装飾です。モデルによって様々なデザインがあります。
  • ピックガード: ピックアップを保護するパーツです。モデルによって様々な形状やデザインがあります。
  • テイルピース: 弦を固定するパーツです。ビグスビーテイルピースなど、独特なデザインのものが採用されています。

その他

  • ヘッドストック: グレッチギターのヘッドストックは、独特な形状をしています。
  • ペグ: グレッチギターのペグは、個性的なデザインのものが採用されています。
  • ピックアップ: グレッチギターのピックアップは、独特なサウンドを生み出すために、様々な工夫が凝らされています。

グレッチギターのデザインは、これらの要素が組み合わさることで、唯一無二の個性を放っていす。

サウンド

グレッチギターの最大の魅力は、やわらかくレゾナンスが強いサウンドにあります。ホロウボディ(完全な空洞ボディ)とセミホロウボディ(中央にソリッドな部分がある)がグレッチの大きな特徴です。これらのボディ構造は、アコースティックな響きを提供し、エレキギターとしても暖かく豊かな音色を持っています。

ホロウボディとピックアップの相乗効果により、温かみのあるクリアなトーンが生み出されます。ロック、ブルース、カントリーなど、様々なジャンルで活躍できる汎用性も持ち合わせています。

一方で、ビグスビー・アームに代表されるようなビブラートユニットの採用により、ユニークでエモーショナルなサウンドも表現できます。情熱的なロックフレーズからあふれる歌心まで、幅広い音作りが可能なのがグレッチの強みです。

フィルタートロンピックアップ

  • グレッチギターには、フィルタートロンという独自のピックアップが搭載されています。このピックアップは、クリアで暖かみのあるトーンを提供し、他のギターでは得られない特有のサウンドが特徴です。
  • フィルタートロンピックアップは、ギターの音色にビンテージ感と強いレスポンスを与えるため、特にロック、カントリー、ジャズミュージシャンに好まれます。

回路設計

グレッチギターの回路には、さまざまな調整機能が装備されています。ピックアップセレクター、トーンポット、ボリュームコントロールなどにより、細かいサウンドコントロールが可能です。例えば、ネックとブリッジのピックアップにそれぞれボリュームコントロールが付いているため、ネックのクリアトーンとブリッジのパワフルトーンをブレンドできます

  • ピックアップ: グレッチギターのサウンドの要となるピックアップは、モデルによって様々な種類があります。 代表的なものとしては、フィルタートロン、ハイロートロン、ダイナソニックなどがあります。
  • コントロール: グレッチギターには、ボリューム、トーン、ピックアップセレクターなどのコントロールが搭載されています。 モデルによっては、マスターボリュームやスタンバイスイッチなどが追加されているものもあります。

このように、回路の工夫がグレッチの魅力を更に高めています。

主要モデル

グレッチには、長い歴史の中で数多くの名器が生み出されてきました。ここでは代表的なモデルについて、その魅力を紹介していきます。

G6120DSW Chet Atkins Hollow Body

Chet Atkinsシリーズの最上位モデルで、1956年モデルのヴィンテージスタイルを再現しています。ダイヤモンド・ダイナソニックピックアップを搭載し、ウォームでレゾナンスに富んだ音色が特徴です。ウェスタンオレンジのメイプルトップやビブラートアームなど、随所にクラシカルな魅力が散りばめられています。

スペック 詳細
ボディ ホロウボディ
指板 エボニー
ピックアップ ダイヤモンド・ダイナソニック


テネシアン6119

ロカビリーやロックンロールバンドに大人気のテネシアン6119は、伝統的なグレッチサウンドを体現したモデルです。Vスタイルのテールピースや大胆な”翼”フォルムが目を引く逸品です。

テネシアン6119には、フィルター・トロンピックアップが搭載されており、インパクトのあるロック色の強い音色を生み出します。ブライアン・セッツァーはこのモデルを愛用し、グレッチの人気を高めた一因ともなりました。

まとめ

グレッチギターは、130年を超える長い歴史の中で、数々の名機を世に送り出してきました。ロカビリーやロックンロールの黎明期に大ヒットを記録し、一時は衰退期も経験しましたが、現在ではフェンダーの傘下で高級路線を歩んでいます。

独特のデザインと温かみのあるサウンド、そして多彩な調整機能を持つ回路設計など、グレッチギターには他にはない魅力が詰まっています。G6120DSWやテネシアン6119などのモデルが示すように、ロック、ブルース、カントリーと様々な場面で活躍できる万能モデルなのです。グレッチギターが放つ芸術性と表現力の高さは、今なおミュージシャンを魅了し続けています。

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