フェンダー・シルバーフェイス/アルミニウム・トリム・アンプの歴史と魅力

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ギターアンプ
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silverface/aluminium trim amplifiers 1968-1969

新シリーズ開発

1965年初めに CBSに買収された後、フェンダーは最も人気が高く大ヒットとなった真空管アンプ モデルを基に、 ソリッドステート・アンプ(トランジスタアンプ)の新シリーズ開発に着手する。 「時代遅れの」 真空管アンプに替わるソリッド・ステート・アンプは、小型で生産コストが安く、 新時代のアンプとして歓迎された。 新しいアンプの特徴は軽いことだった。 新製品は、アンプがさらに持ち運びやすく設計できることを証明したのだ。 フェンダーは世間の反応を注意深く見守った。

人気が出なかった。

この技術は実用化されてから日が浅かったが、 他のアンプ・メーカーも時流に乗り遅れまいと次々にソリッドステートモデルを発表する。 しかし問題が起こった。 初期トラブルが続き、多くの新製品が修理のために工場へ送り返された。 正常に作動しても、 新式アンプのサウンドは、フェンダー製真空管アンプの温かく豊かな響きに比べれば粗く耳障りに感じられた。 フェンダーといえば、 まだ当時は「信頼性の高い高品質の真空管アンプ」というイメージが強く、 新しいアンプは人気が出なかった。ディーラーやプレイヤーが求めるのはフェンダー製の真空管アンプであり、 新式ソリッドステート・アンプの売り上げは伸びなかったのである。 ソリッドステート技術への路線変更は、 CBS経営陣と工場スタッフの間にあつれきを生んだ。 ドン・ランドールは、 CBSは 「アンプと満月の区別もつかなかった」 と嘆いている。 工場長を長年勤めたフォレストホワイトは、 品質管理について上層部と意見が合わず、 1966年12月に辞職してしまった。 1966年半ばから71年にかけてのみ発売されたソリッドステート・アンプをフェンダー黄金期の製品と認める人はいない。

アンプもさらに大型へ

1960年代末、 野心的なロック・バンドは、 大掛かりなPA装置や複雑な照明セットを大ホールあるいはスタジアムに組んでライヴを行うようになっていた。 ホールを満たす音量を得るために、 1人のギタリストが複数のフェンダーアンプやスタック式のデュアルショウマンを駆使する姿も見られた。 この頃フェンダーのライバルだったのが、 12インチ・スピーカー4基入りのキャビネットを積み重ねたマーシャル・アンプである。 イギリスを中心に、ハイワット (HiWatt)、サウンド・シティー (Sound City)、 カスタム (Kustom)、 オレンジ (Orange) といったアンプメーカーも台頭してきた。 ロック・ミュージックの成長と共に、アンプもさらに大型で大音量の装置へと変化していくことになる。

アルミニウム・トリム

一方、ブラックフェイス・アンプのラインアップは、 1968年までプリCBS期そのままだった。 フェンダーの買収からすでに3年がたっていたため、新しいオーナーは製品に華やぎを与えようと考えた。 従来モデルと全く異なるソリッド・ステート・アンプに挑戦し、 あえなく失敗したばかりのCBSスタッフは、 生産技術やフェンダーのイメージをあまり混乱させずに真空管アンプ・シリーズの外装をアップデートしようと苦心した。 確立された工程を崩さないよう配慮した結果、 変更は
シンプルなものになった。 ブラックだったコントロールプレートは、ペールブルーのブロック体大文字でモデル名を描いたブラッシュド・アルミニウム・パネルに変更。 この新しいコントロールパネルとクローム金属のフェンダー・ロゴは、 ライヴ会場で照明を反射し、ステージ後方のどこに置かれても輝いて見えた。 ブラックトーレックス、シルヴァー・グリル・クロス、 ストラップ・ハンドル、 数字入りの黒いノブはそのまま残されたが、 ソリッド・ステート・シリーズのささやかな名残が1つだけ追加された。 ソリッド・ステート・アンプのスピーカーバッフルを縁取っていたアルミニウム・トリムである。 グリル・クロスとキャビネットの間を埋めるこのトリムは、シルヴァーフェイス時代の初期モデルに洗練された雰囲気を与えた。 おそらく失敗に終わったソリッドステートシリーズの在庫部品を利用したのだろう。

アンプ・デザイン

しかしそれも長くは続かず、 1969年中にアルミニウム・トリムのデザインは姿を消す。 短期間しか生産されなかったこのアンプは、レオとドン・ランドールがフェンダー社との関係を保っていた間に登場した最後のモデルだった。 1968年にロンドンを訪れた際、 ドンはビートルズにアルミニウム・トリム付きの新型シルヴァーフェイス・アンプ一式を提供した。 1969年1月30日、 アップル・スタジオ屋上で行われたビートルズ最後のライヴで、サウンドを増幅したのはこのアンプである。
レオのアンプは、1940年代末にオレンジ郡の騒がしいバーやクラブで使われていた時から、はるかな道のりを歩んできた。 20年という短い期間で、 彼のアンプ・デザインはポピュラー・ミュージックのサウンドを形作り、その進路を決めるのに大きな役割を果たした。 ギター用のアンプに何を求めるのか、ミュージシャンの声に耳を傾け続けたレオの努力は報われた。 自分のデザインがどれほどポピュラー・ミュージックに、さらにはポピュラー・カルチャーに影響を与えるか、本人は想像もできなかっただろう。 長い年月を経た今、 彼が初期に手がけたデザインを見た我々は、レオ・フェンダーの非凡な才能に驚嘆するばかりである。

Fender Silverfaceアンプ

Fender Silverfaceアンプは、1967年から1981年頃まで製造されたフェンダー社のアンプのシリーズです。それまでのブラックフェイス期のアンプからデザインや回路が変更され、独特の特徴を持っています。

主な特徴:

  • シルバーのフロントパネル: 最も大きな特徴は、その名の通り、光沢のあるシルバーのコントロールパネルです。これにより、ブラックフェイス期とは異なるルックスを与えています。初期のモデル(1967年後半~1969年頃)では、グリルクロスの周りに「ドリップエッジ」と呼ばれるアルミ製の枠が付いているものもあります。
  • 青いラベル: モデル名などが記載されたラベルが青色であることも特徴の一つです(Broncoは赤色)。
  • 回路の変更: ブラックフェイス期と比較して、回路にもいくつかの変更が見られます。一般的に、よりクリーンでブライトなサウンド傾向にあると言われています。また、一部のモデルではマスターボリュームが追加されました。
  • スピーカーの変更: モデルや時期によって異なりますが、オックスフォードやユタなどのスピーカーが搭載されていました。
  • ロゴの変更: 1973年頃から、それまでの「テールロゴ」から、よりモダンな「テールレスロゴ」に変更されました。

サウンドの特徴:

シルバーフェイス・アンプのサウンドは、一般的に以下のように言われます。

  • よりクリーン: ブラックフェイス期に比べて、歪み始めるまでのヘッドルームが広く、よりクリーンなサウンドが得られます。
  • ブライトな高音域: 高音域が強調され、きらびやかなサウンドが特徴です。
  • パワフルなサウンド: 回路の変更により、よりパワフルで音量の大きなアンプが多いです。

ただし、これらの特徴はモデルや製造時期によって異なり、中にはブラックフェイス期の回路に近いサウンドを持つ個体も存在します。また、回路をブラックフェイス期の仕様にモディファイするユーザーも多くいます。

代表的なモデル:

シルバーフェイス期には、以下のような多くの人気モデルが存在します。

  • Twin Reverb: 大音量とクリアなサウンドで、多くのギタリストに愛用されました。

  • Deluxe Reverb: レコーディングなどでも使いやすい、バランスの取れたサウンドが特徴です。

  • Princeton Reverb: 小音量ながらもリバーブとトレモロを搭載し、自宅練習からレコーディングまで幅広く対応できます。

  • Vibro Champ: コンパクトながらも本格的なサウンドが得られるため、人気の高いモデルです。

  • Bassman: 元々はベースアンプですが、ギターアンプとしても評価の高いモデルです。

  • Bandmaster: ヘッドアンプで、外部スピーカーキャビネットと組み合わせて使用します。

シルバーフェイス・アンプは、その独特のサウンドとルックスから、現在でも多くのギタリストに愛用されています。また、比較的手頃な価格で入手できるヴィンテージ・フェンダーアンプとしても人気があります。

まとめ

 

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