はじめに
PRS(Paul Reed Smith)ギターは、1985年にポール・リード・スミス氏によって設立された比較的新しいアメリカのギターブランドです。創業以来、ギブソンやフェンダーに並ぶ「第3の王道」として、世界中のギタリストから高い評価を受けてきました。PRSギターは、卓越した演奏性と美しいデザイン性を兼ね備え、プレイアビリティの良さや独自のトーンが特徴的です。本記事では、PRSギターの魅力と特徴について、さまざまな観点から詳しく紹介していきます。
歴史と哲学
PRSの歴史は、ポール・リード・スミス氏がマリーランド州の自宅の屋根裏部屋で数本のギターを手作りしたことから始まりました。その後、PRSは着実に成長を続け、最先端の設備を備えた大規模な工場を構えるまでになりました。PRSギターの特徴は、ギブソンとフェンダーの長所を取り入れつつも、独自の哲学と設計思想に基づいていることにあります。
第3の王道を目指して
ポール・リード・スミス氏は、ギターの歴史に残る2大ブランド、ギブソンとフェンダーに並ぶ「第3の王道」の確立を目指していました。ギブソンとフェンダーの長所を生かしつつ、それぞれの短所を克服するよう設計されたPRSギターは、独自の存在感を放つことになりました。
PRSギターは、ギブソンとフェンダーの中間的な位置づけではありますが、単なる両者の良いところどりではありません。ボディ形状やネック、ピックアップの配置などに共通点はあれど、トレモロアームの採用や、ハードウェアへのこだわりなど、PRSならではの特徴も多数あります。
最新モデルへのこだわり
PRSは、ギブソンやフェンダーほど伝統やヴィンテージ性にこだわらず、常に最新のPRSモデルが最高の出来であるべきという哲学を持っています。そのため、PRSギターは時代とともに進化を続け、新しい技術や素材を積極的に取り入れながら、より優れたギターを生み出し続けています。
これは、ポール・リード・スミス氏の「現在使う楽器として最高のトーンを出すため」というデザイン哲学に基づくものです。この姿勢が、PRSギターに独自のトーンと魅力をもたらしていると言えるでしょう。
ラインナップの多様性
PRSには、プレイヤーのニーズに応えるため、さまざまなラインナップが用意されています。フラッグシップモデルのCustomシリーズからエントリーモデルのSEシリーズまで、幅広い価格帯のギターが揃っています。また、様々なボディ形状やスケール、ピックアップの組み合わせなど、プレイスタイルに合わせて選択できる多様なバリエーションが魅力です。
フラッグシップモデル
PRSのフラッグシップモデルは、Custom 24やCustom 24-08などのCustomシリーズです。高級材を使用し、1本ずつ丁寧に製作されたこれらのモデルは、PRSの匠の技が注ぎ込まれた最高峰のギターと言えます。Custom 24は代名詞的な存在で、木目の美しさとクリアかつファットなトーンが特徴です。
さらに、Private Stockシリーズは最高級の材料を使い、1本ずつオーダーメイドで製作される究極のカスタマイズが可能です。
一方、Wood Libraryシリーズは、高品質な木材を使用しながら、コストパフォーマンスにも優れています。
エントリーモデル
エントリーモデルのSEシリーズは、スチューデント・エディションという枠組みを超え、PRSが最も力を注いでいるプロダクトの1つとなっています。SE Customシリーズは美しい杢目のメイプルトップが特徴的で、SE Standardシリーズはマホガニーボディによるパンチのあるサウンドが魅力です。
さらに、SEシリーズには、ホロウボディモデル、ショートスケールモデル、アーティストシグネイチャーモデルなど、多様な選択肢が用意されています。SEシリーズには、高い品質とコストパフォーマンスが両立しており、初心者から上級者まで幅広い支持を得ています。
デザインと機能性
PRSギターは、エレガントなデザインと卓越した機能性を両立させています。シンプルながらも独特の存在感を放つボディ形状やインレイのデザイン、そして斬新な機構の採用など、PRSならではの特徴が散りばめられています。
デザイン性の高さ
PRSギターは、ギターレジェンドの手になるシグネイチャーモデルも多数ラインナップされているほか、ボディにキルテッドメイプルなどの木材を使用し、ゴージャスな外観を実現しているモデルも見受けられます。特に定評のあるカーブドトップのメイプルトップは木目の美しさにあふれ、芸術品や工芸品に匹敵する造形美を備えています。
また、PRSを象徴するバードインレイは、モデルや製作年代によって異なる意匠が施されており、優雅な印象を与えます。このようにPRSギターは、シンプルでありながらも独自の洗練されたデザインセンスを備えていることが特徴です。
機能性への配慮
PRSギターは機能性も抜群です。軽量化を図ったPhase IIIペグやブリッジの採用、ノイズ対策としてのシールディングなど、使い勝手の良さにも配慮されています。また、コントロールは5Wayセレクターを搭載し、様々なシングルコイル的な音色が得られるなど、多彩な音作りができます。
さらに、アーミング性能の高さも魅力です。特にカスタムシリーズは、ハムバッキングやシングルコイルの両タイプのピックアップを搭載し、さまざまなプレイスタイルに対応できます。このように、PRSギターは演奏性と機能性を両立させた設計となっています。
音質と演奏性
PRSギターの大きな魅力は、クリアかつファットなサウンドと卓越した演奏性にあります。ピックアップやボディ材の選定、ネックの形状など、細部までこだわった設計が、PRSならではの音質と弾きやすさを生み出しています。
他社に無い独自のサウンド
PRSギターのサウンドは、ギブソンやフェンダーとは一線を画する独自のものです。Custom 24などのコアモデルでは、TCI 85/15ピックアップの採用によりヴィンテージ寄りのトーンが得られます。一方、S2シリーズなどでは、ボルトオンの明瞭なサウンドが特徴的です。
このように、PRSギターには様々なモデル別のサウンドがあり、プレイヤーの好みに合わせて選択できるバリエーションの多さが魅力です。さらに、木材の違いによるサウンドの変化も味わえ、本当に自分に合ったギターを見つけられる可能性が高いといえます。
卓越した演奏性
PRSギターはまた、抜群の演奏性も売りの一つです。パターンシンメトリックネックは、プレイヤーに最適な厚みとリブの深さを提供し、フィンガリングや移動の自由度を高めています。また、ヒールジョイントの形状も工夫されており、ハイポジションでの演奏性に優れています。
さらに、トレモロアーム搭載モデルでは、ブリッジミュートやスライド、ヨーキングなどの奏法に適しており、多くのギタリストから高い評価を得ています。このように、PRSギターは音質だけでなく、優れた演奏性にも定評があります。
まとめ
PRSギターは、ギブソンとフェンダーの良さを融合させつつ、独自の哲学と設計思想に基づいた存在感のあるブランドです。シンプルながら洗練されたデザインと優れた機能性、そしてクリアかつファットな独自のサウンド、卓越した演奏性など、多くの魅力が詰まった楽器といえます。
エントリーからフラッグシップモデルまでバリエーション豊富なラインナップと、時代とともに進化し続ける姿勢が、プレイヤーのあらゆるニーズに応えています。PRSギターの魅力は、音楽性と芸術性を兼ね備え、プレイヤーの創造性を最大限に引き出してくれる点にあります。歴史と伝統に裏打ちされた卓越した技術により生み出される、唯一無二の楽器は、ギタリストの夢を実現させてくれるはずです。
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