はじめに
ギタリストにとって、複数のエフェクターを瞬時に切り替えられるループスイッチャーは、表現の幅を広げる重要なツールです。特にライブパフォーマンスでは、曲の展開に合わせて複数のエフェクトを一度に切り替えたり、ソロセクションで瞬時に音色を変化させたりする場面で、その真価を発揮します。
今回は、日本の老舗オーディオメーカー、Custom Audio Japan(CAJ)の「Loop and Link」シリーズを徹底レビューします。20年以上にわたりプロフェッショナルの現場で支持され続けているこの製品は、コンパクトなボディに高品質のバッファー回路と実用的な機能を凝縮しています。
私自身、20年以上さまざまな機材を使用してきた経験から、この製品の真の価値と正しい使い方をお伝えします。
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Loop and Linkシリーズの概要と歴史
CAJのLoop and Linkシリーズは、日本国内で設計・製造されている高品質なループスイッチャーです。現在のラインナップは、初代の「Loop and Link」(ブラックモデル)と、改良を重ねた現行モデル「Loop and Link II」(シルバーモデル)の2機種のみとなっています。
初代モデルは2000年代初頭に登場し、その堅牢な作りと高品質なバッファー回路で多くのプロミュージシャンから支持を集めました。その後、ユーザーからのフィードバックを反映して機能を拡張した「Loop and Link II」が登場し、現在に至ります。
どちらのモデルも、5つのプログラマブルループを搭載し、コンパクトながら実用的な機能性を備えているのが特徴です。
Loop and Linkの主要機能と特徴
1. 高品質バッファー回路
CAJのLoop and Linkシリーズの最大の強みは、他社製品と一線を画す高品質なバッファー回路です。この特製バッファーは、長いケーブル経路でも信号劣化を最小限に抑え、楽器本来のトーンを忠実に伝送します。
特に注目すべきは、ハイエンドのアナログ回路設計による透明感のある音質です。バッファー回路を通しても原音のニュアンスやダイナミクスが損なわれにくく、エフェクターチェーンの末端まで鮮明な信号を届けることができます。
ただし、一部のビンテージファズなど、バッファーを通すと特性が変化するエフェクターもあります。そのような場合は、該当エフェクターをループスイッチャーの前段に配置するなどの工夫が必要です。
2. 実用性を重視した設計
Loop and Linkシリーズは、実際のライブ環境を想定した実用的な設計が特徴です。フットスイッチは耐久性に優れ、何千回の踏み込みにも耐える堅牢な構造になっています。また、スイッチを踏む際のクリック音も最小限に抑えられているため、静寂が求められる場面でも安心して使用できます。
LEDインジケーターは明るく視認性が高く、薄暗いステージ上でも現在のループ状態が一目で確認できます。初代モデルではLEDの色は固定でしたが、Loop and Link IIではループごとに異なる色のLEDを採用し、視認性がさらに向上しています。
3. 正確な操作モードの理解
Loop and Linkシリーズの操作モードには、「Preset Mode」と「Direct Mode」の2種類があります。これらを正しく理解することが、効果的な使用のカギとなります。
Preset Mode(プリセットモード): これが標準の操作モードです。フットスイッチを踏むと、あらかじめ設定したループの組み合わせ(プリセット)に一度で切り替わります。例えば、クリーンからディストーションへの切り替えや、リードトーン用の複数エフェクトの同時投入などが可能です。
Direct Mode(ダイレクトモード): 本体側面のModeスイッチを切り替えることで、Direct Modeに移行します。このモードでは、各フットスイッチがそれぞれ対応するループの個別ON/OFFを制御します。特定のエフェクターだけを加えたり外したりしたい場合に便利です。
重要な点として、「同じスイッチを2回踏んでON/OFFする」という機能は標準では搭載されていません。個別のループをON/OFFするには、必ずModeスイッチでDirect Modeに切り替える必要があります。
4. 拡張性を高めるリンク機能
Loop and Linkシリーズは、その名の通り「リンク機能」を備えています。専用のリンクケーブルで2台を接続することで、最大10ループ/11プリセットのシステムを構築できます。
これにより、1人のプレイヤーがより多くのエフェクターを管理したり、複雑なサウンドメイクを実現したりすることが可能になります。例えば、1台目で基本的なエフェクト(ディストーション、コーラスなど)を管理し、2台目で特殊効果(ディレイ、リバーブなど)を管理するといった使い方ができます。
リンク機能は同一プレイヤーのシステム拡張のためのものであり、異なる楽器間(ギターとベースなど)での統合には設計されていない点に注意が必要です。
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モデル別詳細仕様
Loop and Link(初代モデル・ブラック)
初代の「Loop and Link」は、黒色のスチールケースを採用した堅牢なモデルです。5つのプログラマブルループと、最大10のプリセットを記憶できます。
主な仕様:
- 外形寸法:185(W) x 125(D) x 50(H) mm
- 重量:約1.0kg
- 電源:9V DCセンターマイナス(100mA以上推奨)
- ループ数:5
- プリセット数:最大10
- バッファー:CAJ特製高品質バッファー内蔵
- 特徴:堅牢なスチールケース、高い耐久性
現在は生産終了していますが、中古市場では高い人気を保っています。特に、アナログペダル愛好家からは、シンプルな回路構成と高品質なバッファーが評価されています。
Loop and Link II(現行モデル・シルバー)
「Loop and Link II」は、初代モデルの基本性能を継承しつつ、いくつかの機能強化が図られた現行モデルです。シルバーのアルミニウムケースを採用し、軽量化されています。
主な仕様:
- 外形寸法:185(W) x 125(D) x 50(H) mm
- 重量:約0.8kg
- 電源:9V DCセンターマイナス(100mA以上推奨)
- ループ数:5
- プリセット数:最大11
- バッファー:CAJ特製高品質バッファー内蔵(初代より改良)
- 追加機能:ミュート機能、L5ループの独立使用機能
特筆すべき改良点として、チューニング時などに便利なミュート機能の追加と、L5ループを他のループとは独立して使用できる機能が挙げられます。また、LEDの視認性も向上しており、ステージ上での操作性が改善されています。
「基本となるLoop and Link、Loop and Link IIに加え、ベースに特化した機能を持つ『Loop and Link B』がラインナップされています。」
実践的な活用方法
効率的なペダルボード設計
Loop and Linkを核としたペダルボード設計では、信号経路の最適化が重要です。一般的には、以下のような配置が推奨されます:
- ギター → ワウ/フィルター系 → Loop and Link入力
- Loop 1:コンプレッサー
- Loop 2:オーバードライブ/ディストーション
- Loop 3:モジュレーション系(コーラス、フランジャーなど)
- Loop 4:タイムベース系(ディレイ)
- Loop 5:アンビエンス系(リバーブ)
- Loop and Link出力 → アンプ
この配置により、最も自然な音の重なりが実現できます。また、ノイズ対策として、高品質な電源(アイソレーション機能付き)の使用と、オーディオケーブルと電源ケーブルを交差させないよう配慮することが重要です。
リンク機能の実践的活用
リンク機能を活用する際の典型的なセットアップは以下の通りです:
- マスター機(通常はLoop and Link II):基本的なエフェクト管理
- スレーブ機:特殊効果や予備のエフェクト管理
これにより、最大10ループのシステムを構築できますが、実用的には7〜8ループ程度に抑えることで、操作の複雑化を防げます。
リンク接続には専用のリンクケーブルが必要で、通常のTRSケーブルでは代用できない点に注意が必要です。また、ツアーなどでは予備のリンクケーブルを用意しておくことをお勧めします。
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実際のユーザー評価
プロフェッショナルの現場から
国内外のツアーで活躍するギタリスト・田中氏は「20年近く使い続けていますが、一度も故障せず、音質の劣化もありません。特にバッファーの透明感は他の追随を許さないレベル」と評価しています。
スタジオミュージシャンの斉藤氏も「レコーディングでの繊細なニュアンスを損なわない点が最大の魅力。プリセット切替のスムーズさも、テンポを崩さないライブ演奏に貢献している」と述べています。
アマチュアユーザーの声
週末バンド活動を行う渡辺氏は「一度購入すれば長く使える耐久性と、シンプルながら必要十分な機能性が魅力。中古で購入した初代モデルも10年以上問題なく使用できている」と評価しています。
これらの声からも、Loop and Linkシリーズが長期間にわたって信頼できる機材であることがうかがえます。
使用上の注意点と対策
電源の選択
Loop and Linkシリーズは、9V DCセンターマイナスの電源で動作します。安定動作のためには、100mA以上の電流容量を持つアダプターを使用することが推奨されます。
特に複数のデジタルエフェクターと併用する場合は、アイソレーション機能を持つ専用電源(Voodoo Lab Pedal Power 2 Plusなど)の使用が望ましいでしょう。これにより、グラウンドループによるノイズを防止できます。
メンテナンス
Loop and Linkシリーズは、基本的にメンテナンスフリーで設計されていますが、長期間の使用では以下の点に注意が必要です:
- フットスイッチの接点部分への埃の侵入を防ぐため、使用しない時はカバーをかけるか、ケースに収納する
- 海外ツアーなど湿度変化の激しい環境では、シリカゲルなどの乾燥剤を同梱する
- 年に一度程度、接続端子の清掃を行う
これらの簡単なケアにより、10年以上にわたって安定した動作を維持できます。
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まとめ
CAJのLoop and Linkシリーズは、20年以上にわたってプロフェッショナルの現場で支持され続けている高品質なループスイッチャーです。その最大の魅力は、他の追随を許さない高品質なバッファー回路と、シンプルながら実用的な機能性、そして長期間にわたって安定した動作を保証する耐久性にあります。
初代の「Loop and Link」と現行の「Loop and Link II」の2モデルのみというシンプルなラインナップながら、リンク機能による拡張性も備え、様々な演奏スタイルに対応可能です。
適切な使用方法(特にMode切替の理解)と最小限のメンテナンスにより、このスイッチャーは10年、20年と長期にわたって使い続けることができる、真の「一生モノ」の機材と言えるでしょう。
エフェクターの切り替えをスムーズに行い、演奏に集中したいギタリストにとって、CAJのLoop and Linkシリーズは今なお最も信頼できる選択肢の一つです。




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